日本耳鼻咽喉科学会千葉県地方部会会長挨拶
日本耳鼻咽喉科学会千葉県地方部会会長
千葉県地方部会 会長 花澤 豊行
 令和3年7月より山本昌彦部会長に代わり、日本耳鼻咽喉科学会千葉県地方部会長となりました花澤豊行です。
山本先生は、12年間の長きにわたり部会長として本地方部会の発展にご尽力されました。
ここに心より敬意と感謝を申し上げます。本当にお疲れ様でございました。山本先生からしっかりとバトンを受け取り、
まだまだ力不足故に、会員の皆様にお力添え頂きながら千葉県地方部会をより良いものに発展させる所存でおります。

 少しだけ自己紹介をさせて頂きますと、私は千葉県山武市松尾町に育ち、県立成東高校を卒業後に千葉大学医学部に入学し、
平成元年に千葉大学医学部の金子敏郎教授が主宰する耳鼻咽喉科学教室に入局致しました。私が耳鼻科医を選択した理由は、
松尾町の実家から数軒先にありました押尾耳鼻咽喉科医院の先生に幼少期に大変お世話になったことがきっかけであります。
中耳炎は勿論、鼻づまりやのどの痛みと何かあれば、学校に間に合うようにと早朝から先生に診て頂きました。
冷たいビニール製のスリッパを履いて火鉢が置かれた待合室で待っていると、一人で診療されていた先生に名前を呼ばれて、
奥の診察室に入ります。当時の耳鼻科の診療所は、額帯鏡を使用しての診察のために部屋は薄暗く、診療器械は銀色で沢山並べられ、
薬品独特のにおいが充満する部屋でしたので、ドキドキするというよりは、とても恐ろしい場所でした。椅子に座ると、
徐に鼻に綿棒をいっぱい挿し込まれ、鼻奥に感じる何とも言えない苦さに涙を止めることが出来なかったことを思い出します。
それでも暗闇から待合室に戻る時には、明日もお出でよと笑顔で声をかけて下さり、50円玉だけ置いて走って家に帰る際には、
鼻がスッキリと通っていて、すごい綿棒があるんだなと思っていました。
押尾先生のように私を育ててくれた町に貢献したくて、耳鼻咽喉科医となりましたが、今はその耳鼻科医を育てる立場となりました。
しかし、優秀な耳鼻科医を育て上げることは、松尾町だけではなく千葉県民の皆さんに貢献できるものと考え、千葉大学医学部附属病院で
力を注いでおります。

 千葉県にはおよそ630万人の方が暮らし、14歳以下の年少人口は75万人(12.0%)、75歳以上の高齢人口は85万人(13.6%)いらっしゃいます。
一方、本地方部会の登録耳鼻咽喉科医は372名であり、うち専門医数は260名です。
したがって、耳鼻咽喉科医としての会員数は全国で8番目ではありますが、県民一人当たりの医師数は未だ下位の状態です。
この現状において千葉県民に安心できる医療を提供するためには、個々の会員の先生方と密に連携を取り、包括的な耳鼻咽喉科の診療体制を
構築することは必須だと考えます。令和3年5月から日本耳鼻咽喉科学会は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会と改名されました。
本学会が掲げる耳、鼻、口腔・咽頭、喉頭、気管、食道、頭頸部と広範囲にわたる領域において新生児から老人の方までの多彩な疾患の
診療に関わりながら、耳鼻咽喉科専門医の育成と、学問・研究の推進および新しい診断・治療法の確立に努め、国民の健康と医療の
将来に貢献するという学会声明を千葉県に広く展開したいと考えております。
会員の皆様のご協力とご支援を頂戴しながら尽力させて頂きますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

令和3年8月18日